追悼 JIMMY COBB 氏
5月24日に偉大なるジャズドラマー@JIMMY COBB 氏が亡くなった。享年91歳。Rest in Peace … ご冥福をお祈りしたい。偉大なるジャズレジェンドがまたお一人、霊山に旅立たれた… ここ最近、偉大なる音楽家の訃報が続くのは寂しい限りだ。
ジミー・コブさんが参加されているジャズの歴史的名盤はあまりにも多い。僕のライブラリーにも数多いので、ベスト盤を1枚や2枚に絞り込むのは自分にとっては難しいが、若い頃に一番良く聴いて勉強したアルバムが想い出深い…という意味からあえて選んだのがこの作品。僕が生まれる2年前の1961年に、サンフランシスコの“BLACKHAWK”というジャズクラブに於いて MILES DAVIS 5TET が2日間に渡り行ったライヴ公演を録音した生々しく貴重な記録音源だ。
実は過去にも名盤として金曜日分・土曜日分として2枚のアルバムで発売されていた… これを自分のお小遣いで初めてLPで買ったのは確か大学1年生の時だったか(?)と記憶する。そしてその2枚が、実はプロデューサーのテオ・マセロ氏のハサミによってコンパクトに短縮編集されていたものだった(現在Amazonなどで売られている廉価盤は残念ながら全てこの短縮編集盤に過ぎない)という真実を後に知った。少々ショックを受けていたところ、レコード会社の倉庫に眠っていたオリジナルマスターテープが奇遇にも発見発掘され、SONY MUSIC JAPAN からこの COMPLETE(完全版)が発売されたのだ。全3時間45分にもおよぶ(未発表テイクも含め)29曲が4枚のCDに完全に収めれている。というわけで、迷わず再度この完全版を買ってしまった。これは世界遺産に匹敵するジャズ史上に残る歴史的記録だと言えよう。4枚全て1音残らず圧巻の内容だ。ピアノの WYNTON KELLY の好演も BRAVO ! だ。
このアルバムにおけるジミー・コブさんが(僕が感じる)彼の最高のプレイだ。今から約60年も昔の演奏だが、ヘッドホンで聴いていると、演奏家の息づかいは勿論、客席の空気感、当時の時代の空気感、温度感や匂いまでが伝わってくる … これは滅多に味わえない体験だ。もちろん擬似体験ではあるけれども、そうした音の向こう側までが映像としてピクチャできることは実に素晴らしい体験だとつくづく思う。このアルバムに参加したメンバーは、MILES DAVIS, HANK MOBLEY, WYNTON KELLY, PAUL CHAMBERS, JIMMY COBB(敬称略)の5名で、ジミーさんは最後の生き残りだったわけだが、その彼も来世に旅立たれたわけだ。今、改めてこのアルバムを聴きながら今夜はジミーさんを弔いたい。ご冥福をお祈りしながら… 追善供養の想いとともに。献杯!
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