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Easy Listening Musicという名の極上音楽

昭和時代にいわゆる“Easy Listening Music”…なる呼ばれかたをした音楽カテゴリーがあった。例えば、当時FM放送で“軽音楽をあなたに”的タイトルでの番組が組まれた昭和時代の美意識に象徴される(便宜上の)カテゴライズだ。(音楽の優劣ということではなく) 例えば(僕が感じている)情景的によりわかりやすく説明すると…昭和時代の「純喫茶」と呼ばれた喫茶店に於いて、大き過ぎず小さ過ぎずのBGM音量でかかっていた“インテリアの一部としての音楽”(みたいな)。しかしそれは、ポール・モーリアやリチャード・クレイダーマンの音楽でもなく、もちろん名曲喫茶(死語かな?)でかかっていたトラディショナルなクラシック音楽や、ジャズ喫茶でかかっていた大音量の Hard Bop でもなく…もっと柔らかくてムーディーな音楽…とでも表現すればよいかな〜。–結論を先に述べたい。僕はこういった“Easy Listening Mucic”から多大なものを学んだ。日本語で表現するところの“軽音楽”という昭和時代独特の言い回しは好きではない。…何をもってそれを「軽い音楽」としたのか??その思慮浅さと教養の低さにはいささか嫌悪感すら覚える。僕は高校生の頃、純喫茶で(以前には知らなかった)レモンスカッシュとピザトーストなる新しい食の歓びに出会い、そういった「軽音楽」と呼ばれた(自分にとっては極上の)音楽を聴きながら、初体験の至福時間を過ごしたものだ。その時に一番僕の感性を揺さぶった音楽が Robert Farnon Orc.(イギリスの編曲家)の音楽だった。…具体的には、「ヴォイスリーディング」や「テンションリゾルヴ」といった専門的オーケストレーション技法も、その当時(高校生の頃)の若輩未熟な自分には、具体的技法は全く理解できなかった。けれども音を聴いて純朴に胸がキュンとなり、「こういう美しいハーモニーはどういう仕組みになっているんだろう? 旋律と和声の関係は一体どういう規範や法則があってこのような妖艶かつリッチな響きになるんだろう??」…とずっとずっと不思議に思ってたし、そのロジックが知りたかった…。高校の帰路にその純喫茶に立ち寄り、心地の良い「軽音楽(笑)」を聴きながら、美味いピザトーストを食べ、レモンスカッシュを飲むことは(酒の味と快楽を知ってしまう前の)未成年16歳の僕のささやかな楽しみでもあった。…僕の場合は、 Robert Farnon Orc.などの音楽と縁して、改めてラヴェルやドビュッシーといったフランス近代和声法の智慧とすごさがわかった。…「昭和時代の純喫茶」は僕の音楽原点の1つとなっている。そして、僕の音楽師匠の一人と言ってもいいかもしれない。さみしいことに、そういった趣きのオールドスクール的な喫茶店には近年もう出逢えない ….あの頃に通った京都市のあの喫茶店は、今はもう無い…

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