フェデリコ・モンポウ(1893〜1987)…スペイン・カタルーニャ出身の作曲家/ピアニスト。僕はスペイン修行時代にモンポウの音楽に出逢い、その作風や和声法から大きな影響を受けた。彼のピアノ作品は、「繊細」「内省的」「静謐」な小品が多いのが特徴に思う。フランス近代音楽、印象主義音楽に影響された作風で、最低限に抑え込まれた楽曲展開、非常に小さな形式を枠組みとした表現、近代和声法といった音楽語法が見られる。作品には小節線のないものも多く、時折エリック・サティの書法との類似性が見られるが、僕はモンポウの作風のほうが断然好きだ。僕がジャズのリハモニゼイションで好んで使用する“Color Chord”は、ほとんどのアイデアがモンポウの音楽から影響を受けたアイデアだ。（左側CD)は、モンポウのピアノ作品全集(４枚組CD)、演奏もモンポウ本人によるもの。（右側CD)は、スペインものを弾かせたらその解釈の深さは右に出る者は居ないピアニスト（と僕は思う）アリシア・デ・ラローチャの1983年の録音盤だ。「凝縮された神秘の作曲家＝モンポウ」の幻想に久しぶりに酔いしれる。