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セファルディー音楽

「セファルデイー音楽」 にはとにかく魅せられる。日本ではまったく馴染みも無く、縦割りのジャンル的にもどこかにカテゴライズされることも難しく、ワールドミュージックカテゴリーの中でも(第4階層の)“その他の歌曲” 的エリアを捜したとしても、音源(CD)は97%見つけることができない。渋谷タワーレコードに於いても、4年に一度(うるう年)ですら発見したことはなかった。

セファルディー : つまりは、「スペイン系ユダヤ人」 の音楽だ。僕は一番最初29歳でスペインに渡った時、初めてこのセファルディー音楽と出逢った。「この世のものとは思えないほど美しい音楽だ…」 と素直に感じたことは今でも忘れない。

コロンブスが大西洋を横切り、初めてアメリカ大陸に着いたのは1492年。この頃、スペインではイサベル=フェルナンド両君主による政治的、宗教的統一が成し遂げられていた。アンダルシア(南スペイン)の一画から、それまで800年間もこの地にとどまっていたイスラム教徒のモーロ人達がついに放遂されたのである。彼等は自分たちの独自の宗教観を守り、各地にユダヤ教会を建て、聖歌を歌っていたらしいが、15世紀末にスペインで定められた法令は、カトリック(キリスト教)への改宗がない限り、いかなるユダヤ教徒もスペイン本土からは強制退去– という厳しい規律であった。つまり大勢のユダヤ人は、長年住み慣れたスペインを去っていかねばならなかったという悲しい歴史がある。しかし、彼等は新しい落ち着き先に集落を作り、彼等がイベリア半島で長年に渡り慣れ親しんだ風俗習慣や、伝承の音楽・詩・歌を大切に守り続けてきたのだ。こうした彼等のアートフォームは後に、フラメンコ音楽にも多大な影響を与えることになる。(そのことについては、また後日改めて書きたいと思っている…)

エステル・ラマンディエ(歌) … このアナログLP盤はヤフーオークションで中古盤を落札したものだが、探し当てるのには長い時間がかかった。が、入手した。神秘的で、単なる「地中海音楽に於ける民謡歌手」などというローカルカテゴリーには収まりきらない大衆芸術の輝かしい旗手であると断言できよう。こういう埋もれた宝石のような音源が発掘再発されて改めて世界に(日本に)紹介されないということは音楽界の悲しい現実だ。 (つづく)

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